夜明けの星さん 男性 47歳
ある男女の話です。
二人は年令も住まいも離れていました。
そんな何の接点もない二人がメールを通じて知り合いました。
二人はすぐに恋に堕ちました。
日に何十通もメールを交換しました。
電話もしました。
一日の終わりは電話越しのピロートークが日課になって、気が付くといつも明るくなっていました。
知り合ったばかりなのに、ずっと昔から一緒にいたような、そんな気持ちになれる二人でした。
まだ会ったこともないというのに二人の気持ちは固まっていました。初対面で何があろうとこの気持ちが変わるはずがないと互いに確信していたのです。
初対面のとき、男が待ち合わせ場所に到着すると、彼女が夢中で駆け寄ってきました。
そんなに必死で走らなくても…。
男はもう彼女が愛しくて愛しくて、駆け寄ってきた彼女をそのまま抱き締めて、思わず熱いキスを交わしていました。
キスの後、男は初めて彼女の顔をちゃんと見ました。彼女はとってもきれいだったそうです。
彼女が男の顔をちゃんと見たのは更に後でした。なぜなら彼女はキスの後、照れてしまって男の顔をまともに見られなかったそうです。
こんな形の恋愛はいやらしいですか?
その計算のなさが、かえって純粋に思えることもあります。