ゴードンさん 男性 36歳
学歴コンプレックスのある方は、とても多いですね。以下、私なりに日本という国の特殊性を考慮して、その理由を考えてみましたので参考になさって下さい。
1.日本は学歴社会ではない
まず議論の前提条件として知っておいて欲しいのですが、日本はかなりの非学歴社会です。これは世界的に見て明らかです。
一方、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツといった欧米諸国は一見するととっても平等な社会だと思われがちですが、実際には全くそうではありません。
1-1 フランスの例
自由と平等の国フランス。この国には大学とは別にグラン・ゼコールという高級官僚養成学校があって、国を動かすような高級官僚や大企業幹部の殆どが、この学校の卒業生で占められています。ちなみに、戦後フランスの大統領は、現サルコジを除いて全員がグラン・ゼコールの出身者です。ちなみに日産のカルロス・ゴーンもここの出身者です。
1-2 アメリカの例
アメリカもすごい学歴社会です。大学を出ている人と、そうでない人では、生涯賃金に大きな差がでます。だからこそ、アメリカ人は年間何百万という高額の授業料を払ってまでも大学で学ぼうとするのです。
1-3 ドイツの例
ドイツも学歴社会です。ドイツには有名なマイスター制度がありますが、あれは簡単に言えば学歴制度なのです。ドイツでは早ければ小学校高学年で、職人として労働者階級の道に進むか、進学して知識階級の道に進かの選択を迫られます。大学まで進む人は非常に少ないですから、かれらの社会的地位と誇りはすごいモンです。
私がとあるドイツの企業に訪ねた時のことですが、皆さん名刺の裏に自分の学位(修士、博士など)と出身大学が書かれていました。別にそれが嫌味だとか言うことではなく、それが能力の証明なのです。
1-4 その他
日本以外のアジア各国、アフリカ、中南米に目を向けても同じことです。結局これらの国の教育システムは欧米のそれを倣っているので、当然ながら学歴社会です。
2.諸外国における学歴社会の特徴
これらの国に共通していえるのは、学歴社会が階級社会と密接に結びついているという点です。これらの国(日本以外の殆どの国)では、エリートは、常にエリート階級で再生産されるのです。つまり、労働者階級はずっと労働者階級、知識階級はずっと知識階級です。もちろん例外はありますし、法律上は両階級の区別や差別はないのですが、実質的にはそういう社会構造になっています。
3.諸外国との比較からみた日本社会の特徴
ひるがえって日本はどうでしょうか?
我国日本は、世界でも稀に見る平等社会であり、経済的格差の極めて少ない国です。これは世界で最も成功した社会主義国と揶揄されていることからも分かりますよね。
実際、日本では普通に努力をして、自分で希望すれば、高校、大学に進学することはそれ程困難なことではないはずです。しかも、大学・大学院卒業者、博士号取得者と高卒の人で、社会的地位あるいは経済面で大きな格差がありません。よく考えると不思議な気がしますが、実際にそういう仕組みになっているのです。
4.何故日本に学歴コンプレックスが蔓延しているのか
私が思うに日本の場合、諸外国(特に欧米諸国)と違って、階級社会ではないことが影響していると思います。
先程お話したように、欧米の学歴社会=階級社会です。階級社会では、階級間で育った環境や価値観、文化が基本的に違うので、両階級間で比べたり妬んだりすることが起こりません。労働者階級は、彼らの価値観に従って生きているので、学歴に対して変にコンプレックスを持ったりしないのです。
一方戦後の日本は、新しい憲法の下、世界でも稀に見る非階級社会に生まれ変わりました。日本は世界的大企業の社長であっても、普通のサラリーマンとたいして違わない家に住んでいる位、経済的・社会的格差の少ない国です。
また非階級社会ですから、階級が固定化される事もありません。だれでも望んで勉強さえすれば、学歴を手に入れることが出来ます。
このような平等社会では、社会的平等が当たり前であり正義であることが大前提になっているので、階級主義的な香りのする「学歴」というものにとても拒否反応があるのだと思います。また欧米とは違って、基本的に平等が前提になっているからこそ、妬みが発生しやすくなるという面も否定できません。
5.まとめ
以上、長々と書いてしまいましたが、日本人に学歴コンプレックスを持っている人が多いのには、非階級社会であるということが少なからず影響していると思われます。
