白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

サイエンスカフェは最終回。今回は日本医科大学大学院教授の佐久間康夫先生をお招きしました。脳と性ホルモンの専門家である佐久間先生に、男脳と女脳の違いや恋愛と脳との関係、性ホルモンの役割などについて、やさしく解説していただきました。

第3回 恋愛をすると、脳の中では?

佐久間先生 やることが多すぎると思うんだ。婚活をやるべき時に、就活もしなきゃいけないし、卒論も書かなきゃいけないし。

白河さん 吊り橋だけでもだめということですね。

佐久間先生 吊り橋だけだとあまりにも不安になって、うつ病になる人も出てくるだろうなと。出会いの場を作ってあげて、2人で吊り橋に行くような状態が作れればいいんだけれど。

白河さん 2人で吊り橋、なるほど。

佐久間先生 恋愛ができないということでいうと、ストレスの問題もありますね。ストレスに対して出てくる「コルチゾール」というホルモンは、性ホルモンと同じコレステロールを材料して作られます。ストレスがかかると、まずはストレスに対抗するために、脳のレベルで、性ホルモンを作るほうが抑えられちゃう。これは実験動物でも再現できるし、人にも実際そういうことが起こります。だから、いかにうまくストレスをコントロールするかが大切になります。

白河さん たしかにストレスがかかると、恋愛したい気持ちなんてなくなってしまいますね。それが草食化した要因の一つかもしれません。そういう意味では、仕事や社会的なストレスが低い学生時代に、恋愛相手と出会うのが正しいのかも…。

佐久間先生 とにかく、みんな忙しすぎるよね。

白河さん そうですね。あとは代替物があるのもネックなのかもしれません。男性にとっても女性にとっても、恋愛以外に楽しいことがありすぎて。

佐久間先生 最近の若い人たちは自動車なんか乗らないよね、僕たちの若い頃はデートの必需品だったんだけど。

白河さん 今の若い人は、携帯電話やインターネットとか、バーチャルな世界に時間とお金を使っています。

佐久間先生 自己顕示欲はけっこうあるんじゃない、ブログ書いてみたりツイッターでつぶやいてみたり。それは恋愛にはつながらないんですか。

白河さん ツイッターやSNSなど「つながる道具」をうまく使って恋愛している人はもちろんいます。ただ自己顕示欲が高すぎて、「自分をそのまま受け入れてほしい」「自分は何も変えたくない、相手に変わってほしい」と思っている人たちが多いのも気になりますね。そういう人たちは、ツイッターやSNSを駆使して誰かと出会えたとしても、先が続かないようです。



「第4回 草食化する男性、高学歴の女性の恋愛は?」へつづく

今週の気になる「お言葉」
(恋愛をすると)「ドーパミン」という神経伝達物質が出てくること。前脳基底でドーパミンの量が増えると、ドキドキして判断力が鈍ってきて、「あばたもえくぼ」に見えるようになる(笑)。

「あなたの相手の男性の遺伝子を調べましょう。忠実にいてくれるか、浮気をして逃げ出すか、診断します」という商売をアメリカでやっている人がいます。しかしね、ネズミの実験でこうだから、人でもこうですと言えるのかと。

好きだから見るんじゃなくて、何回も見ていると好きになるんだって。例えば、バラバラバラとたくさんの男性の写真を女性に見せる。その中に、複数回表れる人を入れておくと、かならず複数回出てきた人を選ぶそうです。

出会いの場を作ってあげて、2人で吊り橋に行くような状態が作れればいいんだけれど。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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佐久間康夫
日本医科大学大学院 医学研究科システム
生理学分野 教授

1975年、横浜市立大学大学院医学研究科生理系修了(医学博士)。群馬大学助教授、ロックフェラー大学准教授、新潟大学助教授、弘前大学教授を経て、93年より日本医科大学教授、医学部生理学(システム生理学)講座の主任を務める。専門は生殖生理学、神経内分泌学、行動神経科学。エストロゲンをはじめ性ホルモンと脳、性行動との関連性、脳の発達と性分化などについて研究を行っている。
http://www.nms.ac.jp/nms/seiri1/