白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

サイエンスカフェは最終回。今回は日本医科大学大学院教授の佐久間康夫先生をお招きしました。脳と性ホルモンの専門家である佐久間先生に、男脳と女脳の違いや恋愛と脳との関係、性ホルモンの役割などについて、やさしく解説していただきました。

第3回 恋愛をすると、脳の中では?

白河さん 動物レベルではいろいろなことがわかってきて、人間に応用しようとしているけど根拠はない。

佐久間先生 ない。効き目もよくわからない。結局、人間の場合は思いこみがすごく激しいから。高いお金を出してわざわざ買った豚のフェロモンを振りかけると、妙に自信が湧いちゃって、普段なら声をかけない人にも声をかけるかもしれない。

白河さん プラシーボ効果ですか。

佐久間先生 ある意味、そういう幻想を与えないと恋愛は始まらないんじゃないかな。

白河さん そうですね。人を好きになる、好きになってもらうには、生物学的に何か秘訣はありませんか?

佐久間先生 これは心理学者の受け売りなんだけど、好きだから見るんじゃなくて、何回も見ていると好きになるんだって。例えば、バラバラバラとたくさんの男性の写真を女性に見せる。その中に、複数回表れる人を入れておくと、かならず複数回出てきた人を選ぶそうです。だから、パートナーの写真をオフィスなんかに飾って、いつも一生懸命見ていると、本当に好きになって離婚しないそうです。

白河さん アメリカ人はオフィスに、きれいに撮った自分の写真を飾るじゃないですか。あれにもそういう示威があるのかしら。この写真を見ろと。

佐久間先生 やはり身近に感じられることが、身近にいて価値観を共有しているということに、どこかですり替わるんじゃないかな。

白河さん となると、近くにいる人のほうが有利ですね。それにしても、最近は男も女も恋をしなくなっています。「恋をしない脳」を恋を「恋をする脳」に変えるには、何か手だてはありますか? やはり吊り橋のような状況に置くしかないのでしょうか。

佐久間先生 状況的にいうとね、今、大学生や大学院生たちも、本当に吊り橋状態なんですよ。男も女も、卒業した後、職があるかどうかわからない。

白河さん みんなのんびり構えているけど、実は吊り橋なんだよ、出産年齢には限りはあるし、豚のフェロモンが効果を奏するわけではないから、今、恋愛しなさいと危機感を煽ることは、ある種の吊り橋効果?





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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佐久間康夫
日本医科大学大学院 医学研究科システム
生理学分野 教授

1975年、横浜市立大学大学院医学研究科生理系修了(医学博士)。群馬大学助教授、ロックフェラー大学准教授、新潟大学助教授、弘前大学教授を経て、93年より日本医科大学教授、医学部生理学(システム生理学)講座の主任を務める。専門は生殖生理学、神経内分泌学、行動神経科学。エストロゲンをはじめ性ホルモンと脳、性行動との関連性、脳の発達と性分化などについて研究を行っている。
http://www.nms.ac.jp/nms/seiri1/