白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回は、動物の行動学が専門の麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室教授、菊水健史さんをお招きしました。動物と人間、求愛行動の似ているところは何か、違うところは何かというお話から、恋愛上手になるためのヒントを探ります。

第4回 さまざまな婚姻の形、そしてもっと恋歌を歌うために

菊水先生との対談を終えて
 「美しい雌は人間だけ」「浮気遺伝子」「イクメン遺伝子」など、菊水先生のお話には興味深いことがたくさん! 動物たちの行動には、人間の恋愛や繁殖へのヒントがたくさん隠されています。

 考えてみれば動物は、雄のほうが、自分がいかに素晴らしい雄であるかをディスプレイし、雌が選ぶシステムになっています。雄のほうが色がキレイだったり、羽が大きかったり、見た目の勝負です。人間だけが「雌が美しくなって資源をたくさん持っている雄に選んでもらう戦略」があったのですが、最近は「イケメンばやり」。そろそろ「男が美しくなり選ばれる時代」も到来しているのかもしれません。

 そして気になるのは、人間の場合、男女ともに異性を求める気持ちがどんどん減っていること。今年の新成人調査によると「10人に7人」が恋人がいず、さらに「恋愛はめんどう」という意識も高まっています。先生は「人間社会を見ると、女性に関する情報がメディアやインターネットに溢れている。だから生身の女性と1対1で会ったり話をしたりする時のレスポンスが下がっている」とおっしゃっています。

 動物にとって交尾することこそ報酬で、「報酬」があるからこそ、繁殖しようと必死になります。現代は「安易に得られる報酬」が多すぎて、生身の男女がつきあい、そこで得られる報酬が魅力的に感じられないのではないかと思います。
 例えば、驚くほどハマっている人が多いケータイゲーム。大人がハマっている場合が多いのですが、「満足感」や「達成感」という報酬が味わえる一番身近で手軽な手段なのでしょう。

 インスタントな報酬のほうが刺激的で、傷つくこともない。短時間に「報酬」を味わい、ドーパミンが出るような体験を積み重ねると、どうしても楽なほうに流れてしまう。  たまには「ネットやゲーム断食」をして、報酬に飢えてみるのも、生身の恋愛への第一歩になるかもしれません。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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菊水健史
麻布大学 獣医学部伴侶動物学研究室 教授

1970年、鹿児島県生まれ。東京大学獣医学科卒業。獣医学博士。三共株式会社(現第一三共株式会社)神経科学研究所研究員、東京大学農学生命科学研究科(動物行動学研究室)助手を経て、2007年より麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室准教授、09年より同教授。専門は行動神経科学。同研究室では、母と子の絆と発達との関係、母子間・雄雌間のコミュニケーションの解析、犬の社会行動の3つを主なテーマに研究を行っている。最新著書に『いきもの散歩道—動物行動学からみた生物の世界—』(文永堂出版)がある。