白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回は、動物の行動学が専門の麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室教授、菊水健史さんをお招きしました。動物と人間、求愛行動の似ているところは何か、違うところは何かというお話から、恋愛上手になるためのヒントを探ります。

第3回 人間にも応用できる戦略は?

白河さん そこで余計なことを言っちゃうと、気まずくなる。ただ「大変だったね」と言ってほしかったのに、「それはさあ~」とアドバイスが始まったりすると…。先生は最新著書『いきもの散歩道』の中で、犬と飼い主との感情の共感について書かれていますけど、犬と人間だって共感できるわけですから、人間同士が共感できないわけない。

菊水先生 「自分が辛い時、犬はそばに来て一緒に寝てくれる」「楽しいことがあった時はシッポを振ってはしゃいでくれる」とか、親バカな飼い主はみんな言うんですけど(笑)。自分の情動状態と犬の情動状態がシンクロするような体験はけっこう多くて、「ああ、わかってくれているのかな」と。いや、わかっていないかもしれないんですけど、飼い主は「わかってくれている」と自分の中で思えれば、それでハッピーなんですよ。共感してくれたのではなかという、その気持ちだけで十分なので。

白河さん なぜ人間より動物のほうが共感できる気がするのでしょう? やっぱり言葉を持たないがゆえの親和性なんでしょうか。

菊水先生 人間は、そこで説教したりするから(笑)。

白河さん 人間は何がいけないのかなあ。動物のほうが共感できる気がしますね。やっぱり言葉を持たないがゆえの親和性なんでしょうか。

菊水先生 行動上のシンクロは、動物の方が大事にしているんでしょうね。人間はどうしても言葉が先に出てしまうので…。

白河さん 大切な人にいろいろあった時は、犬になったつもりで行動すればいい?

菊水先生 そうですね(笑)。同じ感情を共有しているんだという感じくらいでいいんじゃないかと思います。そこで何か言う必要はない。

白河さん それは参考になります。

菊水先生 気持ちに寄り添うだけでいい。

白河さん 犬の気持ちの寄り添い方を見習え!ということですね。



「第4回 さまざまな婚姻の形、そしてもっと恋歌を歌うために」へつづく

今週の気になる「お言葉」
まず相手の警戒心を解くには、右に座ることですね。

相手と同じことをするのがすごく大事なんです。営業マン向けの教科書に、相手が注文したメニューと同じものを注文しなさいとか、相手が足を組んだら自分も組みなさいとか、話の口調を合わせなさいとか…

ちょっとしたしぐさを一緒にする、歩くスピードを合わせる、同じ料理を食べる、料理をシェアするなどですね。小さなことですが、これを組み合わせていくと、お互いの信頼感が上がり、緊張感が溶けてきて、距離が縮まるきっかけができるのではないかなと。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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菊水健史
麻布大学 獣医学部伴侶動物学研究室 教授

1970年、鹿児島県生まれ。東京大学獣医学科卒業。獣医学博士。三共株式会社(現第一三共株式会社)神経科学研究所研究員、東京大学農学生命科学研究科(動物行動学研究室)助手を経て、2007年より麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室准教授、09年より同教授。専門は行動神経科学。同研究室では、母と子の絆と発達との関係、母子間・雄雌間のコミュニケーションの解析、犬の社会行動の3つを主なテーマに研究を行っている。最新著書に『いきもの散歩道—動物行動学からみた生物の世界—』(文永堂出版)がある。