白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは、東京大学教養学部付属教養教育高度化機構で教鞭をとる坂口菊恵さん。著書『ナンパを科学する』では、さまざまな科学的データを用いて、進化心理学の領域からナンパや配偶行動を検証して話題になりました。この対談でも、男と女の感じ方の違いや配偶者獲得の戦略について、たっぷりとお話していただきます。

第3回 女性が好む男性、男性が好む女性

白河さん 女性が500円万稼いでいたら、男性にはもっと高い収入を求めるのは、単純に金額の問題なのか、それとも能力の問題なのでしょうか。

坂口先生 これは婚姻システムの起源にも関連する問題です。何十万年という歴史を考えると、ヒトの社会は基本的に狩猟採集社会です。男性が狩りで穫ってきたものはみんなにシェアされる社会なので、能力がある男性の存在はみんなに利益があるけれど、かといってさぼっている男性が食べられないわけではない。それにもかかわらず、狩猟採集社会では狩りの上手い男性はモテる。その分、浮気もしやすい。つまり獲得した獲物を女性に対する見せびらかすことで、男性は「能力がありそう」「遺伝子が良さそう」というアピールができたのではないかと考えられます。

白河さん 現代社会の場合、その見せびらかしは「お金」になりますね。

坂口先生 経済基盤が家族単位であれば、父親の稼ぎは家庭の利益になるでしょう。でも大昔は父親がたくさん稼いできたからといって、それが直接、家の収入になるということはなかった。そういう男性が集団の中にいることは、集団にとっての利益であり、そういう男性を引き止めている女性は、集団の中でいい思いができるということだったのでは。魅力的な男性の子どもはまた魅力的かもしれないですし。

白河さん 経済単位が家族単位になった今は、やはり収入が多い方がいいとなりますね。

坂口先生 単純に収入の問題に還元されやすいですが、稼ぎが良くても、それを銀座でばらまいてくるとか別宅があるとかではなく、家に入れてくれる気がある男性であることも重要でしょう。

白河さん たくさん稼いで、それを投資してくれるかどうかが、女性にとっては一番重要なんですね。

坂口先生 そうですね。今は、銀座の店より趣味のフィギュアに使ってしまう人もいるかもしれませんが(笑)。

白河さん 女性が男性を選ぶ場合、見た目はどのくらい気にしますか?

坂口先生 長期的な関係に関しては、男性を見た目だけで選ぶ女性はそれほどいません。それよりも誠実性や努力を評価します。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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坂口菊恵
東京大学 教養学部付属教養教育高度化機構 特任助教

1973年、北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員。上京後、数年間のフリーター生活を経て東京大学に入学し、進化心理学を学ぶ。専修大学、早稲田大学、東京女子大学の非常勤講師を経て、2010年より現職。09年、ヒトの恋愛・性行動にまつわる疑問を進化心理学の視点から検討した著書『ナンパを科学する——ヒトのふたつの性戦略』(東京書籍)を発表して注目を集める。
http://orange.zero.jp/ksakaguti.bird/