白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは、東京大学教養学部付属教養教育高度化機構で教鞭をとる坂口菊恵さん。著書『ナンパを科学する』では、さまざまな科学的データを用いて、進化心理学の領域からナンパや配偶行動を検証して話題になりました。この対談でも、男と女の感じ方の違いや配偶者獲得の戦略について、たっぷりとお話していただきます。

第2回 ナンパされやすい人、されにくい人

白河さん 不快な体験が幼少期にあった人は、成長してもまた不快な体験に遭いやすいというデータもありましたね。しかも、その人たちは不快な体験がベースにあるから、挑発的な服装をしないように注意しているにもかかわらず、また遭ってしまうという。

坂口先生 子どもの頃に遭ったからまた遭うのか、もともとその人に引きつけやすいものがあるのか、そこのところはわかりません。恐らくその両方だと思いますが。特に性犯罪の被害者の場合、子どもの頃に遭った人は非常に高い確率で大人になってからも被害に遭うことがあります。

白河さん なぜその人たちがそうなりやすいかは、まだ解明されていないのですか。

坂口先生 諸説ありますが、本当のところはまだわかりません。

白河さん 以前、週刊朝日に「MMKおばさん」という特集が組まれたことがありました。何歳になっても子どもがいても、MMK(モテてモテて困る)という女性の体験談でしたが、私はそれを読んで、特別なフェロモンが出ているのか?と不思議でたまらなかった。

坂口先生 普通は年をとるとナンパも頻度が下がるんですが(笑)。そういう女性は、なんかすご~く受け入れてくれそうな雰囲気を出しているんでしょうね。雰囲気とは、無意識的なコミュニケーションの力であったりするのでしょう。

白河さん その記事には、ストーキングされるほどモテることを逆手にとって、ホステスになった女性の例も載っていました。

坂口先生 儲かってるでしょうね(笑)。

白河さん 私はナンパされることがほとんどないので、実はナンパされる人が羨ましいんです。若いころからスキがないと言われ、どうしたらスキが出るのか、すごく知りたかった。坂口先生は、実はナンパで苦労されていたそうですね。

坂口先生 若い頃はそうですね。

白河さん それが不快だったからこそ、その原因を突き止めたいというか、女性にスキがあると言われたくなくて、この研究を始められたとか。

坂口先生 なんとか仕返しをしてやりたいと。

白河さん そういう意味で私は正反対。押し出しが立派すぎるから声かけにくいと言われたり、背が高いから敬遠されると言われたり…。

坂口先生 ナンパや痴漢に遭いやすいのと身長や体重との関係も調べていますけど、関係ありませんでした。

白河さん ナンパされやすさが、女性のモテや幸せ、今後の配偶者獲得につながるかというと、そこは微妙だとよく分かりました。ナンパや痴漢、セクハラに悩む女性のためにも、この研究はぜひ進めてほしいですね。



「第3回 女性が好む男性、男性が好む女性」へつづく

今週の気になる「お言葉」
ナンパする男性は、ものすごく急いでいる人、ものすごく暗い人、周囲の声が聞こえそうにない人には声をかけないはずです。道を聞いたら反応してくれそう、正面に回り込んだら目を合わせてくれそうなど、コミュニケーションが成立しそうな人を選んでいると思います。

男女がお互いにコミュニケーションを求めている場所で声をかけられるのと、会社の行き帰りで道を歩いている時に声をかけられた場合では、感じ方は異なるでしょう。予期せぬ時と場所で、いきなりアプローチされることに対して、多くの人はかなり不快に感じています。

男性には、女性はいきなり声をかけられたら不快に感じるということがわかりにくいですよね。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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坂口菊恵
東京大学 教養学部付属教養教育高度化機構 特任助教

1973年、北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員。上京後、数年間のフリーター生活を経て東京大学に入学し、進化心理学を学ぶ。専修大学、早稲田大学、東京女子大学の非常勤講師を経て、2010年より現職。09年、ヒトの恋愛・性行動にまつわる疑問を進化心理学の視点から検討した著書『ナンパを科学する——ヒトのふたつの性戦略』(東京書籍)を発表して注目を集める。
http://orange.zero.jp/ksakaguti.bird/