白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは、東京大学教養学部付属教養教育高度化機構で教鞭をとる坂口菊恵さん。著書『ナンパを科学する』では、さまざまな科学的データを用いて、進化心理学の領域からナンパや配偶行動を検証して話題になりました。この対談でも、男と女の感じ方の違いや配偶者獲得の戦略について、たっぷりとお話していただきます。

第2回 ナンパされやすい人、されにくい人

白河さん 日本の場合、ナンパは特殊な人がやることで、声をかけてくるのはAVのスカウトとか、ろくなことがないと思われています。ところがパリでは、マラソンでよく会う相手に声をかけたり、行きつけのバーで声をかけたり、男女が声をかけあうのは当たり前。逆に「ナンパなくして恋愛のチャンスは生まれない」なんて言われます。

坂口先生 欧米の研究だと、シングルズバーやクラブなど女性も相手を求めていくような場所での調査が多いですね。そういう場所では、女性がちょっとこっちを見るとか、合図を送らない限り、アプローチしてくる男性はなかなかいません。

白河さん 先生の本の中にも、女性からの微笑みがなく、1回視線を投げられただけで、女性にアプローチしてきたのは、100人のうちたった5人の男性のみだった。女性が何もシグナルを送らなかった場合はアプローチしてきた男性は一人もいなかったという海外の研究が紹介されていますね。何らかの暗黙のコミュニケーションがあり、男女は何らかの合意の上で声をかけたりかけられたりしている。

坂口先生 男女が合意の上で、出会いの場に行っている場合はそうでしょう。私が問題にしているのは、女性が考えてもいない時に、突然声をかけられる、暗闇で待ち伏せされているといったケースです。こうした状況で、声をかけられるかどうかの違いに関心があります。

白河さん 合意の場でのお互い声をかけあうのは、底流に相互コミュニケーションがあるということで、いきなり暗闇でナンパされるのとは違う。

坂口先生 まったく違うと思うし、ナンパと痴漢も違う、ナンパとキャッチ、ナンパと風俗店のスカウトも違う。

白河さん 純粋なナンパの人もいる?

坂口先生 いますよ。ただ、声をかけてくる男性のほとんどは女性にとって関心の対象ではないでしょう。むしろ迷惑という場合もありますよね。例えば、仕事で男性と話をしなければいけないが、ナンパされて困るとか。

白河さん それを避けるために、スカートをはかない、目を合わせないなど、かわし方を身につけようと努力しているビジネスウーマンもいます。でもナンパされるのは、本人が悪いわけではないんですよね。

坂口先生 悪い点があるとしたら、その人が若い女性であるということですね。定量データはとっていませんが、20歳前後の女性はナンパされやすい。この悩みは、年をとったらなくなりますよ(笑)。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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坂口菊恵
東京大学 教養学部付属教養教育高度化機構 特任助教

1973年、北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員。上京後、数年間のフリーター生活を経て東京大学に入学し、進化心理学を学ぶ。専修大学、早稲田大学、東京女子大学の非常勤講師を経て、2010年より現職。09年、ヒトの恋愛・性行動にまつわる疑問を進化心理学の視点から検討した著書『ナンパを科学する——ヒトのふたつの性戦略』(東京書籍)を発表して注目を集める。
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