白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

サイエンスカフェは最終回。今回は日本医科大学大学院教授の佐久間康夫先生をお招きしました。脳と性ホルモンの専門家である佐久間先生に、男脳と女脳の違いや恋愛と脳との関係、性ホルモンの役割などについて、やさしく解説していただきました。

第4回 草食化する男性、高学歴の女性の恋愛は?

女性は高学歴化して結婚が遅くなり、男性は草食化して恋愛に対する興味が薄れている状況を打破するには、女性が積極的に男性を選びにいってもいいと、佐久間先生はアドバイスをする。そして男も女も、恋を楽しむエネルギーが不足気味。しっかり食べて、しっかり寝ることが、恋愛を呼び寄せるコツ。

白河さん 今、経済的なことがネックで結婚に積極的になれない男性がたくさんいます。さすがに「経済的な吊り橋状態」にいると、告白なんてできないですよね。

佐久間先生 昔だったら、好きな2人が一緒になれば、なんとかなると思えたんじゃない? でも今は、ある程度、年収が確保できないとプロポーズできない状態があるんでしょうね。女の子のほうも「年収が600万円なければだめ」なんて言うし。

白河さん 「手鍋下げても」と言いましたけど、そういう気持ちを持つ女性は、だいぶ減ってしまいました。男女とも、何もかも揃っている環境で育っていますから、好きな人と一緒になれれば苦労をしても構わないという感覚は持てないでしょう。

佐久間先生 最近、結婚して家庭に入りたいという女性が増えてきたと聞きます。専業主婦になって子どもを育てて、パートで少し稼ぐのかな。

白河さん 若い女性の3割くらいは専業主婦志望ですが、「現実には無理」と答える人も多いですね。実際に若い女性は、それほどお金持ちの男性を求めていません。それよりも家事や育児に積極的な男性と結婚して、2人でそこそこ稼ぎながら、一緒に子育てしていこういう気持ちが強いですね。ただ、どうしても女性は「自分よりも上の人がいい」と言う。経済的か人間的か、経験値か、ちょっと上の人がいいという思い込みがある。これは文化的な刷り込みでしょうか。

佐久間先生 性差というよりは刷り込みでしょうね。

白河さん 婚活中の女性に、私はいつも「しっかり働いていたほうがいい」と言っています。特に育児で中断しようが、夫の転勤で転職しようが、働き続けられる専門職がいいと。

佐久間先生 そういう意味で、医者はいいですよ。医学部の学生は国立大学ではもう50%が女性。僕が教えてきた女子学生たちは、仕事と家庭を両立させていくのが3分の1、とりあえず結婚し、2年くらいで「結婚は面倒くさい」と離婚して仕事に専念するのが3分の1、残りは結婚しないで仕事している。

白河さん 女性の医者は、どうやって結婚相手を見つけているんですか。私は日頃から、専門職の女性には「学生のうちに相手を見つけましょう。同類の職業、同等の学歴の男性と結婚できる確率が高まる」とアドバイスしているのですが。

佐久間先生 女子学生たちを見ていると、まず学生時代に見つける、それがだめなら2年間、研修医をやっている間に見つける。それでも見つからなくてどうしよう、という感じですね。まだまだ日本では、専門職の女性が家庭を作り、子どもを育てるのは難しい。女性がバリバリ稼いで、男性が家を守ったって構わないんだけど。

白河さん 高学歴カップルを調査した社会学的な研究を見ると、お互いに忙しくてうまくいかないという以外に、文化的なすりこみも影響していることがわかります。女性は家庭を守るもの、男性は稼いでくるものという刷り込みがあって葛藤するんです。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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佐久間康夫
日本医科大学大学院 医学研究科システム
生理学分野 教授

1975年、横浜市立大学大学院医学研究科生理系修了(医学博士)。群馬大学助教授、ロックフェラー大学准教授、新潟大学助教授、弘前大学教授を経て、93年より日本医科大学教授、医学部生理学(システム生理学)講座の主任を務める。専門は生殖生理学、神経内分泌学、行動神経科学。エストロゲンをはじめ性ホルモンと脳、性行動との関連性、脳の発達と性分化などについて研究を行っている。
http://www.nms.ac.jp/nms/seiri1/