白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

サイエンスカフェは最終回。今回は日本医科大学大学院教授の佐久間康夫先生をお招きしました。脳と性ホルモンの専門家である佐久間先生に、男脳と女脳の違いや恋愛と脳との関係、性ホルモンの役割などについて、やさしく解説していただきました。

第1回 男と女、脳の違いとは?

白河さん 女性はしゃべるのが好きだけど、男性はおしゃべりがあまり好きではないともいわれます。実際、男女ではコミュニケーション能力の差がとてもある気がします。これは女性のほうが「脳幹」が長いから短いからとかいうけれど。

佐久間先生 だから脳の形には違いもあるし、機能にも違いはあるんだけど、脳がこう違うから、男はこうで女はこうだという議論は成り立たないんですよ。視床下部をつないでいる繊維の束が女のほうが多い、だから女はすぐ怒るという本を書いた女医さんがいるよね?

白河さん よくその話も出ますね。

佐久間先生 もっと説明すると、脳の重さは、女性のほうが男性よりも小さい。体重当たりで換算しても小さい。だけど小さいから頭が悪いわけではなくて、例えばアナトール・フランスというフランス人作家は脳がとても小さかった。

白河さん 脳の大きさは関係がないんですね。

佐久間先生 右利きの男性は左側の半球が大きいが、女性は右利きであっても左右の差はあまりないともいわれます。左右の大脳半球をつないでいる繊維の束=脳梁は明らかに女性のほうが立派です。「前交連(ぜんこうれん)」という視床下部をつなぐ神経線維も、女性のほうが立派。で、なんか役割があるんだろうと。

白河さん でも、だから女性はすぐ怒るという説は乱暴だと(笑)。

佐久間先生 そう。中には前交連を欠いて、左右の脳の連絡がまったくないという人もいます。その中には「イデオサバン症候群」という方もいますが、彼らは何百万桁の計算を瞬時にやったり、1度読んだことはすべて覚えるという並外れた才能を持っている。だから脳梁や前交連ないからといって、どうだともいえない。特定の能力だけがすごく発達しているという不思議なことが起こっている。

白河さん まさに脳はブラックボックスですね!

佐久間先生 そう、ブラックボックス。男女の差ではないけれど、左脳が分析的で右脳が情緒的というのも、今は否定されているし。以前、日本人は左の脳で虫の音を聞き、外国人は右脳で聞いてそれを雑音にしか感じないという説がありましたが、それも否定されています。とにかく今は、簡単に画像が見れて、しかも一見もっともらしい絵が出てくるもんだから、それで解釈のし放題という状態です。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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佐久間康夫
日本医科大学大学院 医学研究科システム
生理学分野 教授

1975年、横浜市立大学大学院医学研究科生理系修了(医学博士)。群馬大学助教授、ロックフェラー大学准教授、新潟大学助教授、弘前大学教授を経て、93年より日本医科大学教授、医学部生理学(システム生理学)講座の主任を務める。専門は生殖生理学、神経内分泌学、行動神経科学。エストロゲンをはじめ性ホルモンと脳、性行動との関連性、脳の発達と性分化などについて研究を行っている。
http://www.nms.ac.jp/nms/seiri1/