白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のテーマは「理数婚活のススメ」。奈良先端科学技術大学院の博士課程に在学しつつ、「席替えシステム」を活用した婚活サービスを提供するベンチャー企業の社長でもある黒岩将さんを招き、科学を取り入れた婚活ビジネスの最前線について話を聞きました。

第3回 最適化を押し進めた先に幸せは来るのか

職業や年収などの条件はいわば「装飾」の部分。相手の「匂い」のように、もっと動物的な直感も異性選びの要素に加えてみてはどうか? と黒岩さんは提案する。実際、遺伝子レベルで相手を選ぶシステムは、海外では実用化されているという。究極の最適化を進めることは、果たして男女の幸せにつながるのだろうか? 

黒岩さん お見合いパーティーでは、相手を選ぶのに学歴や職業、ルックス、性格などが重視されますけど、これはある程度、努力すれば変えられるものですし、いわば「装飾」でしょう。それよりも僕は、もっと動物的な要素や先天的な要素で、異性を選んでもいいのではと思っているんです。例えば、この顔が好きだなとか、この人いい匂いだなとか。条件が合う人がいないなんて思っていた人も、動物的な直感で異性を見たら、気に入る人が見つかるかもしれない。

白河さん そういうマッチングシステムも開発しているんですか?

黒岩さん ええ、遺伝子で相手を選ぶシステムを開発して特許まで取ったんですけど、事情があって譲渡してしまいました。

白河さん 遺伝子で選ぶとは?

黒岩さん ヒントはアメリカで行われた実験です。女性に男性20人のTシャツの匂いをかがせて、好きか嫌いかをチェックしてもらったところ、自分と異なる遺伝子を持った相手の匂いを「いい匂い」と感じるという結果が出ました。生物学者のロジックは、異なる免疫系を持つ同士が結婚すると、子どもは多様な免疫系を獲得できる、だから自分と異なる遺伝子を持つ異性の匂いを好む、というものです。でも、これはあくまで推論で証明はされていません。ただ僕は、自分の経験として、たしかに「匂い」というのはあるなあ、と。外見や性格も大事だけど、まずはクンクンと相手の匂い嗅げば、話が早いなと思いました。

白河さん そういうえば先日、フェロモンクリームの発表会というのがありました。フェロモンの仕組みはあまり解明されていないそうですが、開発者曰く、耳の後ろや脇の下からフェロモンは出ているそうです。

黒岩さん 白河さんご自身の経験で、この人の匂いが好きとかありますか?

白河さん どうかなあ…。女性には「近寄るとイヤ!」という感覚があるけれど、それはきっと見えないものを察知しているんだと思いますね。その嗅覚は25歳くらいが最も鋭くて、年とともに鈍ってくるみたい。

黒岩さん 僕はその匂いの実験を知ってから、後輩に合コンをセッティングしてあげて、目をつぶって匂い嗅ぎ大会をやってもらったんですよ。男女ともに順番に相手の匂いを嗅いで、匂いで両思いになるかなと。面白かったのは、ある後輩が、外見がぜんぜんタイプじゃないという女の子の匂いを「良い」と報告したことです。こういうことを見ると、可能性を感じます。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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黒岩 将
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士課程在学中

ホープフル・モンスター株式会社代表取締役。 1979年生まれ、大阪出身。近畿大学生物理工学部生物工学科卒業、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士課程在学中。専門は遺伝的アルゴリズムの実世界問題への応用。08年、同大学院博士課程で最適配置問題や人工知能プログラミングを専門とする武田康臣さんと共に、ベンチャー企業ホープフル・モンスター株式会社を設立。情報科学を生かした婚活支援ビジネスを手がける。「クロイワ・ショウ」の名前で著作活動も。バリ島在住の日本人大富豪を取材し執筆したシリーズ「出稼げば大富豪」(KKロングセラーズ社)がアマゾン総合1位となり、4冊の続刊を重ねている。
ホープフル・モンスター http://hopefulmonster.jp/