白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは、東京大学教養学部付属教養教育高度化機構で教鞭をとる坂口菊恵さん。著書『ナンパを科学する』では、さまざまな科学的データを用いて、進化心理学の領域からナンパや配偶行動を検証して話題になりました。この対談でも、男と女の感じ方の違いや配偶者獲得の戦略について、たっぷりとお話していただきます。

第1回 男と女の感じ方はこんなに違う

白河さん その一方で、女性が一生懸命にサインを出しているのに気づかない男性もいます。

坂口先生 男性には、自分が関心あること以外は気づきにくいという傾向があります。例えば、いつも一緒に働いている女性が10cmくらい髪を切っても気づかないとか、コミュニケーションの機微に気づかないとか。逆に言えば、相手が嫌がっているのに気づかない。女性が明白なシグナル、拒否を示す言動を出しているのに、気づかないこともあります。

白河さん 例えば会社で、好ましい男性にアプローチされたらセクハラじゃないけれど、好ましくない男性に同じようにされたらセクハラになってしまうというのも、そういうことですね。

坂口先生 理不尽な話に思えますが、当たり前といえば当たり前ですよね。「不快な相手」からアプローチされているからセクハラになるわけで。

白河さん 男と女では感じ方に違いがある、特に予期せぬ性的アプローチや性的強要を受けた時、繁殖年齢(妊娠可能な年齢)の女性の感じる不快感の強さは、男性には理解できないとおっしゃってますけど、本当にその通りですよね。

坂口先生 痴漢などは分かりやすい例です。女性の場合、痴漢に遭うとものすごい恐怖感を感じたり、身動きがとれなかったりします。男性でも痴漢に遭う人はいますけど、あまり恐怖感を感じないそうですね。セクハラにも本当にひどいものから冗談まで、いろいろなレベルがあり、女性側の許容度も異なります。軽いものでも大きく騒ぎ立てる人がいると、本当に重い問題が存在しても着目されなくなるのではということも、懸念しているのですが…。

白河さん あまりにも騒ぎ立てる人がいるために、「女性というのは大げさなんだよ」と言われるようになると、本当の深刻なハラスメントを見逃してしまう。

坂口先生 そうです。軽口に反応して騒いでいると、本当に殺されかかっている人が救えないかもしれない。そうなることを危惧しています。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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坂口菊恵
東京大学 教養学部付属教養教育高度化機構 特任助教

1973年、北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員。上京後、数年間のフリーター生活を経て東京大学に入学し、進化心理学を学ぶ。専修大学、早稲田大学、東京女子大学の非常勤講師を経て、2010年より現職。09年、ヒトの恋愛・性行動にまつわる疑問を進化心理学の視点から検討した著書『ナンパを科学する——ヒトのふたつの性戦略』(東京書籍)を発表して注目を集める。
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