白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

ゲストは早稲田大学教授の森川友義さん。早稲田大学130年の歴史上初という「恋愛学」の講座を担当し、学生たちに大人気を博しています。「恋愛とは広義の意味で政治。男女の駆け引きであり、誰でも政治脳を駆使している」と森川さん。辛口のコメントは胸にぐさりと突き刺さるけれど、頭を政治脳に切り替えて、恋愛と結婚を見てみませんか。新たな発見があるはずです。

第3回 恋愛における3つの市場を知り、市場を制覇せよ!

白河さん 80年代までは、女性はセックスを小出しにしていましたよね。「結婚するまで与えないわ」と。団塊世代になると、セックスしたらその人と結婚しないといけなかったと。それが自由化してしまった以上、小出しにするテクニックを駆使しないと、プロポーズは引き出せないということですね。

森川先生 男性の欲しているものは結婚しなくても手に入ってしまう、そこの不均衡が女性側に不利だと思います。

白河さん これなら男性からプロポーズを引き出せるというテクニックはありませんか?

森川先生 それなら「先手必勝のセオリー」でしょう。恋愛をしてラブラブな状態にあると、いわゆる「恋愛バブル現象」が起きるわけですね。

白河さん 何でもよく見えちゃう、あばたもえくぼ状態ですね。

森川先生 そうです。「恋愛バブル現象」が生じると、例えば、相手の商品価値が3億円だとしても、それが10億円、20億円にも見えてしまうわけです。これは実際に授業でやるのですが、(男性スタッフに向かって)、ある日突然、彼女の両親が来て「○○君、うちの娘はあなたにはあげられん。金はいくらでも積むから、うちの娘と分かれてくれと。言い値でいくらか」と言われたとします。

白河さん 自分の値段ですね!

森川先生 そう。100万円から始めて、500万円、1000万円、5000万円……と、「イエス」か「ノー」かで答えてもらいます。その平均額はいくらだと思いますか?

白河さん 10億くらい?

森川先生 なんと男性が2800億円、女性が2900億円。 「1兆円積まれても別れません!」と言う人が30%もいるがゆえに、こういう数字になってしまうのですが、とにかく別れるなんてあり得ない状況になっている。こういう恋愛バブル期の頂点に立っている時、結婚はすごく簡単です。

白河さん これは男性がバブル状態になっている時の話ですよね。

森川先生 女性が男性からプロポーズを引き出す話ですから。男性が超バブル期になっていれば、相手に対する価値は過大評価し、結婚における障害は過小評価するので、結婚はものすごくスムーズにいきます。

白河さん でも超恋愛バブル期は長く続きませんよね。

森川先生 恋愛感情は3~4年で終息してしまうので、短期決戦であるべきです。国立社会保障・人口問題研究所の統計では、結婚するまでにつきあった年数は4.1年。こんなに長くなるとバブルは消滅しているので、なかなか結婚には結びつきません。女性が「もう少し相手を見極めたい」とか「仕事が忙しい」とか、理由をつけては引きのばしてしまうと難しくなります。

白河さん 男の人が結婚する気になる時って、どんな障害があってもけっこう乗り越えられる。逆に、男性がその気になっていないと、なかなか障害は乗り越えられない。女性のバブル期ではダメなんですね。なぜでしょう。

森川先生 男性がプロポーズするという習慣がある以上、いかに男から引き出すかが重要で、そのタイミングを間違えるとうまくいかない。

白河さん 女性からプロポーズするのはどうですか。最近、そういうケースも多々あるのですが。

森川先生 草食系男子に対してでしょう。それはハイリスク・ハイリターンですね。なぜかというと一発勝負だから。「最後通牒戦略」と呼んでいますが、それで「ノー」といわれたら終わってしまうので覚悟が必要ですよね。

白河さん 女性からのプロポーズはリスクが高いということですね。

森川先生 慣習と違うことをしている以上は、そういうことになりますね。



「第4回 今後の日本の結婚や恋愛の行方」へつづく

今週の気になる「お言葉」
■そうして相手の売り、自分の売りを点数化して考えたとすると、60点の男性はだいたい60点の女性とカップルになることが多い。これを「恋愛均衡説」といいます。

■男をじらす戦略は、銀座のホステスさんなどは上手ですね。とにかく与えすぎちゃいけない!「ハングリーマーケティング」というそうですよ。

■女性が男性からプロポーズを引き出す話ですから。男性が超バブル期になっていれば、相手に対する価値は過大評価し、結婚における障害は過小評価するので、結婚はものすごくスムーズにいきます。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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森川友義
早稲田大学国際教養学部 教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒、ボストン大学政治学部修士号、オレゴン大学政治学部博士号取得。国連開発計画(UNDP)、国際農業開発基金(IFAD)など国連専門機関に10年勤務。アイダホ州ルイス・クラーク大学助教授、オレゴン大学客員准教授などを経て、現職。専門分野は進化政治学、国際関係論、日本政治。2008年より早稲田大学にて「恋愛学入門」を開講。恋愛学に関する主な著書に『いますぐカレと結婚!』(講談社)、『なぜ日本にはいい男がいないのか21の理由』(ディスカヴァー21)などがある。
公式サイト http://www.justmystage.com/home/tmorikawa/