白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは総合研究大学院大学教授の長谷川眞理子さん。性にまつわる様々な問題は、先生が専門とする生物学の大きなテーマ。生物界に見られる雄と雌の関係から、人間の男と女の関係を考察。負け犬や草食男子、浮気の話、人間の子育ての話と、なるほど納得の話を披露してくださいました。

第4回 これからの恋愛・結婚は

長谷川先生との対談を終えて
 動物と人間の配偶者選びも似て非なるところはありますが、比較すると見えてくるものもあります。複雑な頭脳を持った人間という私たちの繁殖が、とても難しいことがよくわかります。 「完全に合致する相手を見つけるなんてあり得ません」と先生もおっしゃっていますが、「より良い相手」や「ぴったりの価値観」にこだわりすぎると、繁殖の時期をのがしてしまう。
 それでは配偶者を選ぶときに、どんな目を持てばいいのか?  その基準がわからないからこそ、年収はいくらか、というわかりやすい数値に走ってしまいがちで、男性も「結局稼ぐやつしかモテないんだ」と思ってしまいがちです。でも、本当の男らしさ、選ばれる雄、モテる雄になるヒントがお話の中にありました。

 一番印象的だったのは、ベネズエラにアチェという、狩猟採集と焼き畑農耕の人たちの話です。
 彼らの中でモテる男子とはケンカに勝つ強い男子ではない。「大雨の日に薪を切ってしょって帰って来られるような強い男」「子どもを肩車して何キロも森の中を歩ける男」「みんなが困っている時に、火を炊いて冗談の一つも飛ばせるやつ」だということです。
 婚活中の女子なら、誰もが「いいなあ」と思うはずです。

モテる男性になるには「役にたつ強さ」を磨くこと。力があっても、お金があっても、人のために使わないなら、それはないと同じです。
重い荷物は持ってあげる。子供の抱っこやベビーカーを押すなどの力仕事は率先してやる。そして、みんなが辛いときには、火を焚いて(現代なら暖かい缶コーヒーを買ってきて配るとか)、冗談のひとつも言う……つまりユーモアを磨く。だからお笑い芸人さんはモテるのですね。

 今は辛い時代だからこそ、人の役に立つ男性は大モテだと思います。
 といっても何をしていいかわからない人は、とりあえず明日からベビーカーを押すお母さんのためにドアを開けてあげてくださいね。重い荷物を持っている女子社員には手を貸してあげる。ボランティア活動などのグループに顔を出すのもおすすめです。

 人間は共同繁殖……今回の対談で一番響いた言葉です。例え子どもを持っていなくても、誰もが子どもが育つことに手を貸しているのです。
 そしてお母さん1人だけでは、子育ては不可能。お父さんが、親が、兄弟が、友人が、それもダメなら社会が、助けてあげないと人間の子供は一人前にならない。

 「せっかくの命を大切にしてほしい」というのが、動物、人間、狩猟採取時代から現代までを見つめる長谷川先生からのメッセージ。  先生は新宿で新宿救護センターを営む「玄さん」の支援もしているとか。命のギリギリの現場を知っているからこその言葉が、とても心に響きました。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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長谷川眞理子
総合研究大学院大学教授

1976年東京大学理学部生物学科卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。早稲田大学政治経済学部教授を経て、現職。ニホンザル、チンパンジー、野生のヒツジ、クジャクなど多くの動物を観察した成果を投入し、進化生物学、行動生物学の視点から複雑な人間の研究に取り組む。著書に『クジャクの雄はなぜ美しい?』(紀伊國屋書店)、『生き物をめぐる4つの「なぜ」』(集英社新書)、『オスとメス=性の不思議』(講談社現代新書)など。