白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは総合研究大学院大学教授の長谷川眞理子さん。性にまつわる様々な問題は、先生が専門とする生物学の大きなテーマ。生物界に見られる雄と雌の関係から、人間の男と女の関係を考察。負け犬や草食男子、浮気の話、人間の子育ての話と、なるほど納得の話を披露してくださいました。

第4回 これからの恋愛・結婚は

白河さん 男女関係でも、場数を踏んでいない人は、どうしても決断できない傾向があります。

長谷川先生 日本では昔ながらのコミュニティが崩れたのに、どうやって他者とせめぎあっていくかの訓練はされていない。男と女もそうで、信頼して飛び降りることができないのが現状なんでしょうね。

白河さん 年中恋愛している人は結婚も早いですし、ダメになってもまた結婚します。一方、受け身で待っているばかりで、一歩を踏み出せない人も多い。今は後者が多数派なんです。経験値が少ないから、思い切って踏み出すと、とんでもないことが起こり、また戻ってしまう。でも、こういうことは学校で教えることではないですし……。

長谷川先生 こればかりは赤ん坊の頃からの積み重ねですからね。どうやって人を見るか、人とつきあってどれだけ傷いて、それでもなお人を信用するか。こんなこと、26歳くらいになって、さあ結婚しようと思ってからじゃ遅いでしょう。

白河さん その経験が積めるのが30代以降ですか。36歳くらいで結婚すると、ちょうどいい塩梅なのかもしれません。

長谷川先生 そうですね。ただし、子どもの産み終わりは変わらないから、そこが難しい。

白河さん 社会の成熟度や経験値に比例して、産み終わり年齢も伸びればいいけど、そこだけは人間も動物ということですね。そこが悲しいところです。もっと早く、傷つくのを恐れないで、どんどん出ていって、人とつきあう経験値をつけていかなければいけないのですが。

長谷川先生 そうね、場数を踏まないとだめだと思います。しかも早いうちから。それにしても、人間は本当に成長に手がかかる生き物です(笑)。つくづく母親一人が対処するのは無理と思う。

白河さん それだけ周囲の手を借りて大人になっているのですから、命は大事に使いたいですよね。

長谷川先生 だから私、自分自身を大切にしなければいけないと言いたい。一人で大きくなって、一人で生きていると思うな、と言いたいですね。


今週の気になる「お言葉」
人は完全に共同繁殖だから、夫や父親は子育て助力の一つのオプションに過ぎないと思っています。
日本は核家族のなごりで、母やが子育ての責任者という意識が強い。でもそれは大間違いです。othersがどれだけいるかがカギなんですから。
自分自身を大切にしなければいけないと言いたい。一人で大きくなって、一人で生きていると思うな、と言いたいですね。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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長谷川眞理子
総合研究大学院大学教授

1976年東京大学理学部生物学科卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。早稲田大学政治経済学部教授を経て、現職。ニホンザル、チンパンジー、野生のヒツジ、クジャクなど多くの動物を観察した成果を投入し、進化生物学、行動生物学の視点から複雑な人間の研究に取り組む。著書に『クジャクの雄はなぜ美しい?』(紀伊國屋書店)、『生き物をめぐる4つの「なぜ」』(集英社新書)、『オスとメス=性の不思議』(講談社現代新書)など。