白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

今回のゲストは総合研究大学院大学教授の長谷川眞理子さん。性にまつわる様々な問題は、先生が専門とする生物学の大きなテーマ。生物界に見られる雄と雌の関係から、人間の男と女の関係を考察。負け犬や草食男子、浮気の話、人間の子育ての話と、なるほど納得の話を披露してくださいました。

第3回 モテる雄の謎

白河さん 先生の『オスとメス=性の不思議』の中に、男性で一番たくさん子どもを作ったのはモロッコの王様で888人、女性はウクライナの女性で69人というデータがありました。

長谷川先生 男性の方が「潜在繁殖速度」が速いんです。女性は妊娠・出産・授乳を行いますし、ヒトの子どもは離乳後もとても手がかかりますから、「子どもに対する投資」は絶大です。これに対して、男性は母親と子どもの生存を保証できる手だてさえあれば、事実上はすぐ次の繁殖に取りかかれることになります。

白河さん なので男性は浮気に走ってしまう。

長谷川先生 でも浮気は一人ではできないから、相手の女性がいるということです。相手の女性が既婚者なら男女の浮気率は同じになりますが、カップルの浮気率は男性のほうが断然高い。つまり、相手は未婚の若い女性であることが多いということです。

白河さん 男も女もカップルになった相手以外と浮気したいという気持ちはあれど、男女差は大きい。

長谷川先生 男の人にもいろいろなタイプがいて、浮気するタイプは何度もする。だけどしない人は一生しない。「マッチョ型」と「正直な雄型」の2タイプに分かれると思います。

白河さん そうですね。浮気する男性とばかり恋愛してきて、ついに浮気しない男性と結婚した女性の言葉ですが、「浮気する男としない男は、男と男ダッシュというくらい違う」と。名台詞だと感心しました。

長谷川先生 そうでしょうね。男性の浮気率をグラフにしたら、平均値が高くて両側が少ないのではなくて、「マッチョ型」と「正直な雄型」が両端に2山できると思います。

白河さん 「正直な雄」はどうやって見分ければいいのでしょう。途中で「マッチョ型」に変貌する可能性もありますか?

長谷川先生 これはある種の性格。大人になったらもう変わらないと思うので、見分けるのはそう難しくないと思います。



「第4回 これからの恋愛・結婚は」へつづく

今週の気になる「お言葉」
自由に恋愛感情で(配偶者を)選べるようになったのは、人間の社会では非常に最近のことです。
(モテる雄の)強さとはケンカに強いことではなく、役に立つ強さだと。人が困っている時に、一人で出かけて何かを達成してこられるようなことだと。それは「優しさ」だと。
夫が働いて奥さんは専業主婦で、職場と家庭が分断されて、というの状況が、人類社会の中でおかしい。
浮気するタイプは何度もする。だけどしない人は一生しない。「マッチョ型」と「正直な雄型」の2タイプに分かれると思います。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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長谷川眞理子
総合研究大学院大学教授

1976年東京大学理学部生物学科卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。早稲田大学政治経済学部教授を経て、現職。ニホンザル、チンパンジー、野生のヒツジ、クジャクなど多くの動物を観察した成果を投入し、進化生物学、行動生物学の視点から複雑な人間の研究に取り組む。著書に『クジャクの雄はなぜ美しい?』(紀伊國屋書店)、『生き物をめぐる4つの「なぜ」』(集英社新書)、『オスとメス=性の不思議』(講談社現代新書)など。