白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

ゲストは宗教人類学者の植島啓司さん。長年のフィールドワーク、また競馬やカジノ遍歴を通じて培った「不確実な時代を生き抜く知恵」を学びます。恋愛・結婚もまた「賭け」と考えるなら、勝つ確率はどのくらいあるのか? 文化人類学の視点で、草食男子が登場した意味についても語っていただきました。

第4回 進むべき道は?

男性が女性に求めるものは「母親ような包容力と少女のような恥じらい」と植島さん。イマドキの女性にとっては超難題だが、「いろいろな役割を演じる」と発想を変えれば、人生は楽しくなるのではないかという。

植島先生 僕は古い人間だから、女性には羞恥心、恥じらいの感覚を求めますね。精神的にも非常に大切な要素だと思います。例えば、電車の中で化粧することとか、パンを食べるとか、よく見かけますよね。法律で取り締まれないし、道徳でも説明しきれない。議論の隙間に出てくる難しい問題です。

白河さん たしかに微妙な問題ですね。

植島先生 電車の中で化粧をしても平気という感覚は、日本女性が西洋化したからだと言う人もいますが、それは勘違いです。他の国でもそんな女性は多くありません。これまで日本女性は世界中で一番人気があると言われてきました。フランスの画家バルテュス、ジョン・レノン、アルゼンチンが生んだ世界的作家ボルヘスなど、奥さんが日本人という例はいくらでもある。活発で仕事ができる女性だから人気があるというわけではなく、日本人女性のどこか控えめなところ、相手をそのまま受け容れようとするところが、他の国の女性には見られないからだと思います。

白河さん 外国人の男性に、日本女性のどこがいいのか尋ねると、「日本の女性は優しいから」と言う。日本女性もずいぶん強くなったように見えますが、東アジア圏の韓国や中国の女性と比べても、まだまだ優しいですね。相手のことを考えて行動するとか、そういう長所は大切にしていかなければいけない。せっかく人気があるのだから、そこはなくしたくない。やはり電車の中で化粧するのはいただけないでしょう。

植島先生 最近、電車の中で歯を磨いている女の人を見たことあります(笑)。

白河さん 自分のお部屋化ですね。20代の女性だけでなく、もっと年上の女性たちにもどんどん恥じらいがなくなっています。

植島先生 でも、何がどういけないのか、どう説明すればいいのか…。

白河さん 男性が女性にひかれるのは、昔も今も自分と違う異性であるという点は変わらないと思います。古典的ですが、スカートをはくのは、異性をひきつける手段として有効なわけです。時々、仕事のできる女性が婚活の相談に来て、「そんな風に男性にひざまずかなければいけないのか」「スカートをはく意味があるのか」と反論することがあります。私は、スカートをはいたほうが楽しければ、はけばいいと思っているのですが。

植島先生 もちろん男性は歓迎するんじゃないですか。

白河さん 男を射止めるテクニックという意味ではなく、女性は女性らしいところを大切にしていかないと、なかなか男女のことはうまくいかないと思います。特に、電車の中で化粧をする女性が増え、乙女化する男性が増えている今の世の中では。

植島先生 本当にカップルができにくい時代ですね。

白河さん その結果、肉食的なオジサマたちがもてたりするわけで(笑)。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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植島啓司
宗教人類学者

1947年東京生まれ。東大大学院(宗教人類学専攻)博士課程修了。NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授など歴任。1970年代から現在まで、世界各地で宗教人類学調査を続けている。競馬評論家としても知られ、また世界各地のカジノも経験。著書に『生きるチカラ』『賭ける魂』『男が女になる病気』『熊野 神と仏』など多数。
ブログ:http://k-ueshima.cocolog-nifty.com/blog/