白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

ゲストは宗教人類学者の植島啓司さん。長年のフィールドワーク、また競馬やカジノ遍歴を通じて培った「不確実な時代を生き抜く知恵」を学びます。恋愛・結婚もまた「賭け」と考えるなら、勝つ確率はどのくらいあるのか? 文化人類学の視点で、草食男子が登場した意味についても語っていただきました。

第3回 草食男子の登場、その意味は

白河さん 女性が男性に「優しくなれ、なれ」と要求していくと、男性は女性化していく。でも、女性はそれを望んでいたわけではないんですよね。男性っぽくありながらも女性のような細やかさ、やさしさが欲しいなと、まあ贅沢なことを言っていたわけですが。だけど、それがうまくいかないで、若い男の子たちがどんどん乙女になって、自分たちと同じになってしまった。

植島先生 本当にまずいことですね。

白河さん 一方、女性のほうは仕事をすることによって、どんどん男化しています。ある女性が「私は女だからお母さんの気持ちもわかるけど、社会に出て仕事をしているからお父さんのつらさもわかる」と。

植島先生 女性にとって、むしろ生きにくい社会になっているのではないですか。進むべき方向性は正しいとは思いますが、ちょっとしんどい時期かもしれないですね。男女雇用機会均等法の施行が1986年。それ以前の女性と、それ以降の女性では、つらさが違うのではと思います。

白河さん 最近では「普段は女性を意識しないで行動している」という若い女性も増えています。仕事においても、もう男女差別はないという人もいます。20代は男女役割分担という言葉すら知らない。かといって、のびのび生きているようにも見えない。

植島先生 男女の垣根がなくなる、いわれなき社会的差別がなくなることは歓迎すべきことです。ただし、繰り返しになりますが、それは男性と女性が同一化、中性化していくことではありません。

白河さん 今、そこがうまくいかなくて悩んでいる人が多いのでしょうね。中性化するのではなく、男女両方の要素を持てばいい。逆に、無理して女っぽくなることも、男っぽくなることもない。女性は、仕事の面では男性的だけれどプライベートでは女性的。男性は、男性として誇らしくあるけれど、ある面ではとても細やかであるとか。そうなれば魅力的ですね。



「第4回 進むべき道は?」へつづく

今週の気になる「お言葉」
草食男子はどちらかというと日本特有の現象です。その背景には、戦わない社会があると思います。
男女が中性化していくのはまずい。一般に、生物は中性化すると滅びる。
中性化するのではなく、男女両方の要素を持てばいい。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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植島啓司
宗教人類学者

1947年東京生まれ。東大大学院(宗教人類学専攻)博士課程修了。NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授など歴任。1970年代から現在まで、世界各地で宗教人類学調査を続けている。競馬評論家としても知られ、また世界各地のカジノも経験。著書に『生きるチカラ』『賭ける魂』『男が女になる病気』『熊野 神と仏』など多数。
ブログ:http://k-ueshima.cocolog-nifty.com/blog/