白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

ゲストは宗教人類学者の植島啓司さん。長年のフィールドワーク、また競馬やカジノ遍歴を通じて培った「不確実な時代を生き抜く知恵」を学びます。恋愛・結婚もまた「賭け」と考えるなら、勝つ確率はどのくらいあるのか? 文化人類学の視点で、草食男子が登場した意味についても語っていただきました。

第3回 草食男子の登場、その意味は

白河さん 龍馬ブームを見ていると、たしかにその通りですね。でも、肉食系の男性は、数的にどんどん減っています。20代の女性が40代の男性にひかれるという本が話題になりましたが、今の20代の女性からすると、40代の男性でも十分に肉食的に感じるのでしょう。

植島先生 そうですね、でも、どちらかというと受け身のほうが、人生は楽しく運ぶ。だから男女ともに受け身になりたがっているのではないですか。

白河さん 強い女性と控えめな男性がカップルになる可能性もありますよね。こういうカップルは女性が仕切っていると思われがちですが、意外にも「いつも仕事で命令しているから、家庭では命令されたいの」なんて言う人が多い。女性の本能でしょうかね。

植島先生 とてもよくわかります。

白河さん 女性は王子様を求め、男性は責任をとりたくないと思っている。男女ともに受け身でいるから、今カップリングがうまくいかないのかもしれません。

それにしても草食男子はメッセージの取り違えで生まれてきたといえますね。男も女も互いに無意識のメッセージを受け取って変化している。

植島先生 女性は肉食系の男性を毛嫌いして、ちょっと控えめな男の子を好きと感じた。男性のほうは無意識的にそういうメッセージを受け取って、やさしくなろうなろうと動いてきた。

白河さん ところが、今度は女性が「草食男子では物足りない」と言い出した。

植島先生 そうですね。ただ、そうしてお互いに影響しながら、男女が中性化していくのはまずい。一般に、生物は中性化すると滅びるわけで、そういう意味で歩み寄るのはあまりいいことではありません。

白河さん どういう形が理想型なのでしょうか。

植島先生 男性でありながら女性の特質を身につける、女性でありながら男性の特質を身につける。両方の要素を持つことは、今後、文化が発展する基盤になります。でも、昨今の草食系、肉食系の話は、このままいくと男性の女性化に収束しそうで、あまり発展性がないと思います。

白河さん 両方の要素を持つのはいい。だけど、どちらかも遠くなるのはよくない。

植島先生 ええ、両方を持ったらゴージャスな感じがあるじゃないですか(笑)。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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植島啓司
宗教人類学者

1947年東京生まれ。東大大学院(宗教人類学専攻)博士課程修了。NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授など歴任。1970年代から現在まで、世界各地で宗教人類学調査を続けている。競馬評論家としても知られ、また世界各地のカジノも経験。著書に『生きるチカラ』『賭ける魂』『男が女になる病気』『熊野 神と仏』など多数。
ブログ:http://k-ueshima.cocolog-nifty.com/blog/