白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

ゲストは宗教人類学者の植島啓司さん。長年のフィールドワーク、また競馬やカジノ遍歴を通じて培った「不確実な時代を生き抜く知恵」を学びます。恋愛・結婚もまた「賭け」と考えるなら、勝つ確率はどのくらいあるのか? 文化人類学の視点で、草食男子が登場した意味についても語っていただきました。

第2回 恋愛の技術

白河さん 婚活パーティーでは、10対10で回転ずしのように回りながら全員と会話をすることもあります。1人につき1分半~2分くらいしかないのですが、よい印象を残すには、よいキャッチャーになるのが一番でしょうか。

植島先生 そうですね。何か言葉を返さなくても、相手の話に興味を持つ、真摯に人の話を聞く姿勢があると、それで相手は気持ちよく話せるものです。相手が話し出すと興味津々になる女性は、男性にとても人気があるし、もてますね。「私はこうなの」とアピールしなくても、「この女性は素敵だな」と相手は思うでしょう。

白河さん とてもよくわかります。婚活パーティーの主宰者に、どういう男性、女性がもてるか尋ねると、反応がいい人だといいます。反応というのは、いかに気の利いたことが言えるかではなく、表情や言葉の受け止め方のセンスのことらしい。

植島先生 『マンウォッチング』を書いた動物行動学者のデズモンド・モリスによると、同じ女性の写真で、片方はそのまま、片方は黒目の中の瞳孔をマジックで塗りつぶした写真を並べて見せると、みんな黒目を塗りつぶした方が魅力的だと言うそうです。それもそのはず、人も動物も好きな人を見ると瞳孔が開くんです。だから嘘で相づちを打っても、瞳孔を見ればわかる(笑)。

白河さん 最近の若い女性は、黒目が大きく見えるコンタクトをしています。

植島先生 それはずるいですね(笑)。

白河さん でも、黒目を大きくするのは間違っていないわけですね。回転式のお見合いパーティーを見学したことがありますが、後で聞いたら、相手の話を受けて、すごく楽しそうに反応をしている女性がカップルになったと聞きました。「この話題には興味ない」「この趣味には興味ない」と、ぱっと切ってしまうのは味気ない。どんな人にも面白いところはあると思うので、つねにそれを見つけようとしている人が、生き生きしていて好感がもてますね。



「第3回 草食男子の登場、その意味は」へつづく

今週の気になる「お言葉」
恋愛はピッチャーよりキャッチャーのほうが勝つんです。
喜ばれるのは「あなたは」という言葉や、相手の名前を呼んであげること。親しい仲でも会話に時々「~ちゃん」と入れてあげるとすごく効果があります。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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植島啓司
宗教人類学者

1947年東京生まれ。東大大学院(宗教人類学専攻)博士課程修了。NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授など歴任。1970年代から現在まで、世界各地で宗教人類学調査を続けている。競馬評論家としても知られ、また世界各地のカジノも経験。著書に『生きるチカラ』『賭ける魂』『男が女になる病気』『熊野 神と仏』など多数。
ブログ:http://k-ueshima.cocolog-nifty.com/blog/