白河桃子の恋愛サイエンスカフェ

ゲストは宗教人類学者の植島啓司さん。長年のフィールドワーク、また競馬やカジノ遍歴を通じて培った「不確実な時代を生き抜く知恵」を学びます。恋愛・結婚もまた「賭け」と考えるなら、勝つ確率はどのくらいあるのか? 文化人類学の視点で、草食男子が登場した意味についても語っていただきました。

第2回 恋愛の技術

白河さん 名前を呼び合うのは効果あるでしょうね。凄腕のホステスさんは、お客さんとの距離を詰める時に、二人の間でしか通じない呼び名を付けてしまうそうです。

植島先生 それ、いいですね。

白河さん 恋人間、夫婦間でもできますね。これができる女性は、ぱぱっと距離をつめられる。

植島先生 うん、それはなかなか高等技術ですね。
今の話の続きでいうと、電話やメールで例えば「私、バリ島に行った」と言われた時、「私も去年行ったの」と返してはいけません。「私」と入ると、相手は話題を取られたと感じてがっかりします。「バリ島に行った」と言われたら、「どうだった?」「素敵ね!」と答えればいい。

白河さん 共感が大切ですね。

植島先生 女性は条件反射で、「私も」と言いたがりますが、それは恋愛の技術としてはよろしくない。とにかく相手の話を1回受ける。相手が「頭が痛い」と言ったら、「私もバイトが忙しくて腰が痛い」とか言わないで、ともかく「だいじょうぶ?」と相手の話を受ける。

白河さん 受けて共感することが大切。

植島先生 外国の古い恋愛映画を見ていると、会話にためがありますね。ためができるのは、相手の言葉を受けてあげているからです。つまり相手の会話を受けないと、官能的な会話は成立しないということ。

白河さん 沈黙も大事な要素。そういう会話が最初からできればいいですが、なかなか難しい!

植島先生 二人で飲みに行って、バーのカウンターで並んで座ればできるんじゃないですか。二人きりなら時間の流れを調節できますし、日常から少し離れることも可能です。

白河さん 日常から離れたところに、恋愛感情が起きてくるわけですね。

植島先生 それに、ぺらぺら話してばかりじゃ色気がありません。

白河さん 女性はみんな「会話のキャッチボールができる人」を望みますが。

植島先生 キャッチボールは丁々発止やる必要はありません。やっぱり適切なことを言うことより、話をよく聞いてあげることのほうが大事だということですね。





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白河桃子
ジャーナリスト&
ライター

家族社会学会会員。慶應義塾大学文学部卒業後、大手商社に入社。外資系証券会社を経てジャーナリスト、ライターとして活躍。「プレジデント」「日経ビジネスオンライン」、「婦人公論」など多数の女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代』は19万部のヒットに。著書に『キャリモテの時代』ほか、最新著書に『セレブ妻になれる人、なれない人』がある。
ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/



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植島啓司
宗教人類学者

1947年東京生まれ。東大大学院(宗教人類学専攻)博士課程修了。NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授など歴任。1970年代から現在まで、世界各地で宗教人類学調査を続けている。競馬評論家としても知られ、また世界各地のカジノも経験。著書に『生きるチカラ』『賭ける魂』『男が女になる病気』『熊野 神と仏』など多数。
ブログ:http://k-ueshima.cocolog-nifty.com/blog/