恋するオトコのヒット法則

第4回:“会いたい”OKサインを見逃すな!

会うまでに時間をかけた方がうまくいく!?

「筒井筒 井筒にかけし まろが丈 過ぎにけらしな 妹見ざる間に」……。

あら、ガラにもなく短歌なんて詠んじゃってどうしたんですか? 間違って変なキノコでも食べました?

違うよ! 人のことをなんだと思ってるんだい?これは『伊勢物語』に出てくる、在原業平が詠んだ歌だよ。小さい頃、“背丈が井戸の高さを越えたら結婚しよう”と誓っていた幼なじみの女性に、「あなたと長く会わないうちに、僕の背丈は井戸を越しましたよ」とアプローチをかけている歌なんだ。

へえ~、ロマンチックだけど、なんだか回りくどい告白ですね(笑)。女性はなんと返したんですか?

「くらべ越し 振り分け髪も 肩を過ぎ 君ならずして 誰があげなむ」。これは「あなたと長さ比べをしていた髪の長さも、今や肩を過ぎました。あなた以外の誰がこの髪を結いあげてくれるのですか?」という意味だよ。

髪上げって、たしか結婚適齢期に入った女子の成人式のこと。つまり、これは結婚OKの返事ということですね?

うん、こちらも負けず劣らず気の利いた返し方だね(笑)

でも、平安時代の貴族たちは、こうした短歌のテクニックが恋のゆくえを左右したんですよね。

その通り。この時代の主な出会いは、お互いの顔を知らないまま、まずは短歌のやりとりを交わすのが一般的。そこで相手の教養や感性を確かめ、お互いの気持ちが高まったところで、初めて実際に会える決まりだったんだ。

あら? それって“短歌”を“メール”に代えれば、婚活サイトでの出会いと似ていませんか?

いいところに気が付いたね! 歌の中に掛詞(かけことば)や喩えを使って、気持ちを読み込むのが短歌のテクニック。これって、メールにひと手間かけることで相手に“共感・共有”と“特別感”を込めるという前回のポイントとそっくりだよね。

それに、相手の返歌からOKサインを読み取って初デートに持ち込むのも、メールと同じ。日本人って、昔からこうやって遠回しに気持ちを読み取り合う文化が大好きなんですね。

でも、男性にとっては「そろそろ会ってみませんか?」といつ申し出ていいのかわからないから、厄介なんだよな。

そこで今回は、初デートまでのタイミングときっかけ作りについて考えていきませんか? 実は、youbride会員の方を対象に、初デートに関するアンケートをとってみたんです!

ふむ、「お相手と実際に会って初デートするまでに、何往復くらいメールをやりとりしたいですか?」という質問をしたところ、男性は「9回以上」がもっとも多くて50.8%。一方で、5回以下でもいいと思っている人が3割近くいたのか。

はい。それに対して女性は「9回以上」が76.3%と圧倒的。5回以下はわずか1割程度しかいませんでした。

男女ともに、会う前のメールのやりとりには十分時間をかけたいけど、女性のほうがその傾向はより顕著みたいだね。

おそらく女性は、メールをやり取りする中で、一種のネガティブ・チェックが強く働くんだと思います。

相手を好きになるときって、「長所や素敵なところが多いから好き」という積極的な動機と、「短所や嫌いなところが少ないから好き」という消極的な動機があるからね。

ええ。女性の場合、結婚を見据えて「間違いのない相手を選びたい」と思う人が多いので、より慎重にメールを重ねて、“嫌いなところが少ない”と確証してから会いたいんじゃないでしょうか。

それに、女性は一般的に男性よりも“集団的強調性”が高いと言われているよ。「それ、いいよね」とか「かわいいよね!」みたいに、“同意と肯定”によるコミュニケーションが好きだから、相手にあまり「ノー」と言いたくないんだ。

いきなり男性と会って、「ダメです」「イヤです」と断るリスクを少しでも減らしたい。だから、事前になるべくメールでネガティブ・チェックをして、ふるいにかけておきたいのかもしれませんね。

あと、男性はつい「会ってみなけりゃ始まらない」と焦ってしまいがちだけど、会うまでにある程度時間をかけたほうが、実は男性にとっても有利なんだよ。

え、どうしてですか?

前回話したように、女性は自分のために“お金”よりも“時間”をかけてくれた男性に愛情を感じるもの。それは自分の行動に対しても同じで、やりとりに時間をかけた相手ほど、それまでの時間を「無駄にしたくない」という気持ちがはたらいて、相手のことを良く評価しようとするんだ。

つまり、同じ場所、同じシチュエーションでデートしても、会うまでに時間をかけておいたほうが、うまくいく可能性が高いということですね?

そう、だから男性は戦略として、“自分が思っているよりもメールのやりとりは長く続けよう”と思っておくといいかもしれないよ。ただし、ズルズルとデートに誘うタイミングを伸ばしてしまうのもNGだ。

女性がせっかく「そろそろ会ってみてもいいかな」というOKサインを出しているのに、気付けなかったせいでせっかくのご縁がそこまでになっちゃうかも……。

そこで、次回は“自然ななりゆき”で初デートに誘うための見きわめ方を見ていこうね。

(編集:福田フクスケ、イラストレーター:ながれださわ)



プロフィール

ヨツモト先生
筑波大学大学院客員准教授。神奈川県横浜市生まれ。東京大学工学部化学工学科卒業。大手飲料メーカーを経て現在は大手広告代理店勤務。主たる専門領域は、消費心理・動向分析、地域ブランド開発、ワークショップファシリテーション。
ニシイ助手
大手広告代理店のマーケティング部門で、10〜20代の若年層を中心にしたプロジェクトメンバー。リサーチからプランニングまで幅広い商品開発やコミュニケーション戦略立案などを手掛ける。